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AI活用読了 約7分

生成AIに入れてよい情報・いけない情報:情報を3つに区分けして決める社内の線引き

生成AIに入れてよいかどうかは、情報を「公開してよい情報」「社内の情報」「個人情報・機密情報」の3つに区分けし、使う道具の設定と組み合わせて決めると判断しやすくなります。個人情報保護委員会の注意喚起もふまえ、社内の線引きの作り方を解説します。

ノートパソコンで作業する手元と、吹き出しのイラスト

生成AIに入れてよい情報かどうかは、情報を「公開してよい情報」「社内の情報」「個人情報・機密情報」の3つに区分けし、使う道具の設定(入力が学習に使われるか、会社として契約しているか)と組み合わせて決めると判断しやすくなります。迷ったときは、名前や金額を伏せて入れる、または入れない、を基本にします。

3行でまとめると

  • 「何を入れてはいけないか」を列挙するより、情報の区分け × 道具の区分けで線を引くと迷いにくい
  • 個人情報を入れる場合は、利用目的の範囲内か、入力が学習などに使われないかを確かめる必要がある
  • 伏せ字・言い換えで、入れる情報そのものを減らす工夫が有効

この記事の位置づけ

社内ルールの項目の全体(使ってよい道具、生成物の確認、記録の残し方、違反時の対応)については、ChatGPT 社内導入前に決めるべき5つの運用ルールで扱っています。本記事では、その中でも迷う人が多い**「どの情報を、どの道具になら入れてよいか」の決め方**に絞って説明します。

公的な指針で押さえておきたいこと

個人情報保護委員会の注意喚起

個人情報保護委員会は2023年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています。事業者に向けては、主に次の2点が示されています(2026年9月時点、個人情報保護委員会の公式サイトで確認)。

  • 個人情報を含む指示(プロンプト)を入力する場合は、特定された利用目的を達成するために必要な範囲内かを十分に確認すること
  • 本人の同意なく個人データを含む指示を入力し、その個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合は、個人情報保護法に違反するおそれがあること。そのため、サービスの提供事業者がその個人データを機械学習に使わないこと等を十分に確認すること

AI事業者ガイドライン

総務省と経済産業省は「AI事業者ガイドライン」を公表しており、AIを開発する事業者・提供する事業者に加えて、AIを事業で利用する事業者も対象に含めています。2026年3月31日に第1.2版が公表されています(2026年9月時点、総務省の公式サイトで確認)。社内ルールを作るときの考え方の参考になります。

大きな窓の前に置かれた木の机と椅子、机の上にノートパソコン2台と1冊のノート

情報を3つに区分けする

区分 例 生成AIへの入力の考え方
A. 公開してよい情報 自社サイトに載っている事業内容、公開済みのお知らせ、一般的な質問 基本的に入力してよい
B. 社内の情報 社内向けのお知らせの下書き、会議のメモ(個人名・金額を除く)、手順書の案 会社として契約した道具など、入力の扱いを確かめた道具に限る
C. 個人情報・機密情報 顧客の氏名と連絡先、健康に関する情報、取引の金額、未公開の計画、パスワードや鍵 原則として入力しない。業務上どうしても必要な場合は、利用目的・契約・道具の設定を確かめたうえで、社内で決めた手順に従う

パスワード、認証用の鍵、カード番号などは、どの区分けでも入力しないと決めておくと分かりやすくなります。

道具のほうも区分けする

同じ情報でも、どの道具に入れるかで扱いが変わります。生成AIのサービスの多くは、入力した内容を学習に使うかどうか、どのくらいの期間保存するかを、利用規約やプライバシーに関する文書、設定画面で定めています。個人向けと法人向けのプランで扱いが違うこともあります。

道具の区分 例 入れてよい情報の目安
個人のアカウント(無料・個人向け) 社員が個人で登録したもの A のみ
会社として契約し、入力の扱いを確かめた道具 管理者が発行したアカウント A と B
C を扱うと社内で決めた道具 契約内容・設定・利用目的を確かめ、社内で承認したもの 決めた手順の範囲で C の一部

具体的な設定や規約の内容は、サービスごとに異なり、変わることもあります。契約する前と、年に1回程度は、各サービスの公式の説明を確かめる運用にしておくと安心です。

入れる情報そのものを減らす工夫

区分け以前に、入れる情報を減らせば、迷う場面そのものが減ります。

  • 伏せ字にする: 「株式会社○○の△△様」→「取引先Aの担当者」
  • 数字を丸める・置き換える: 実際の金額の代わりに「100万円程度」「金額X」
  • 型だけを頼む: 「この条件でお詫びのメールの型を作って」と頼み、固有の情報はあとから人が入れる
  • 要点だけを渡す: 資料を丸ごと貼らず、必要な部分だけを書き出して渡す

「中身を入れずに、形だけをAIに作ってもらう」ことは、多くの場面で使える方法です。

出てきた答えの扱いも決めておく

入力だけでなく、出力の扱いも線引きしておきます。

  • 社外に出す文章は、人が内容と事実を確認してから使う
  • 数字・日付・固有名詞・法令に関わる内容は、元の資料や公式の情報で確かめる
  • 画像や文章を公開に使う場合は、他者の作品に似すぎていないか確かめる
窓辺の机に立てて置かれたタブレット端末と、メモ用紙の束

社内の線引きの作り方(4つの手順)

  1. よく使う場面を書き出す: メール、議事録、見積書、チラシなど、社員が生成AIを使いたい場面を集める
  2. 場面ごとに、扱う情報の区分(A・B・C)を決める: 「議事録は個人名を除けばB」など
  3. 使ってよい道具を決める: 会社として契約する道具と、その設定を確かめる
  4. 1枚の表にまとめて配る: 場面 × 区分 × 道具 の早見表にし、迷ったら「入れない・相談する」を明記する

最初から完璧を目指さず、使いながら「この場合はどうする?」という質問が出るたびに表を直していくのが現実的です。

よくある迷いと考え方

迷う場面 考え方の例
お客さまからのメールに返信したい お客さまの名前・連絡先を伏せ、内容の要点だけを渡して返信の型を作る
会議の録音から議事録を作りたい 会議の中身が B なら、会社として契約した道具で。個人の評価など C が含まれる会議では使わない、または該当部分を除く
見積書のたたき台を作りたい 品目と作業の流れだけを渡し、金額と取引先名は人が入れる
求人の文章を作りたい 公開する予定の内容なので A として扱える。応募者の情報は入れない

まとめ

生成AIに入れてよい情報は、情報の区分け(公開・社内・個人情報/機密)と、道具の区分け(個人・会社契約・承認済み)を組み合わせて決めると、社員が迷いにくくなります。伏せ字や「型だけを頼む」工夫で、入れる情報を減らすことも大切です。

AI専科のAI顧問では、「この情報をこの道具に入れてよいか」といった日々のご相談を、LINEでお受けしています(AI顧問のページ)。社内の線引きを1枚の決まりにする内容は、AI研修の「社内のルール」のテーマでも扱っています。料金は料金ページをご覧ください。

参考にした情報源

上記は2026年9月時点で確認した内容です。制度や指針は変更されることがあるため、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。本記事は一般的な考え方の解説であり、個別の法的判断が必要な場合は専門家にご相談ください。

よくある質問

Q. 無料版の生成AIを業務で使ってもよいですか?

公開してよい情報(A)だけを扱うなら、使える場面はあります。社内の情報や個人情報を扱う場合は、入力した内容の扱い(学習に使われるか、どのくらい保存されるか)を各サービスの規約や設定で確かめ、会社として契約した道具を使うことをおすすめします。

Q. 顧客の名前を入れなければ、何を入れても大丈夫ですか?

名前を伏せても、住所・勤め先・取引の内容などの組み合わせで個人や取引先が分かってしまうことがあります。個人や取引先が特定できる情報の組み合わせにも注意し、必要な要点だけを渡すようにしましょう。

Q. 社員が個人のアカウントで使ってしまうのは防げますか?

完全に防ぐのは難しいため、「会社として使ってよい道具」を用意し、使い方を研修などで伝えることが現実的です。使ってよい道具が決まっていないと、かえって個人のアカウントで使われやすくなります。

Q. ルールを作ったあと、見直しはどのくらいの頻度で必要ですか?

生成AIのサービスは規約や設定が変わることがあるため、年に1回程度と、新しい道具を使い始めるときに見直すのがおすすめです。日々の迷いは、そのつど相談できる窓口があると解消しやすくなります。詳しくはよくある質問もご覧ください。

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