AX(AIトランスフォーメーション)とは、AIを前提に、仕事のやり方そのものを組み替えていくことです。DXが「紙や手作業をデジタルに置き換える」ことを広く指すのに対し、AXは「文章づくり・要約・下書き・調べものなど、人が考えてやっていた仕事の一部をAIに任せる前提で、手順を作り直す」ところに重心があります。地方の小さな会社の最初の一歩は、くり返している仕事を一覧にし、1つだけAIに置き換えて、手順書にすることです。
3行でまとめると
- AXは「AIを入れること」ではなく「AIがある前提で仕事の手順を作り直すこと」
- DXの土台(データがデジタルになっていること)があると、AXは進めやすい
- 最初は大きく変えず、毎月1つずつ置き換え、手順書にして、使えているかを確かめる
AXとは何か
AXという言葉に、法律や規格で決まった定義があるわけではありません。本記事では、「AIを前提に仕事のやり方を組み替えること」という意味で使います。
たとえば、議事録づくりを考えてみます。
- AIを「道具として使う」段階: 手で書いた議事録を、AIに整えてもらう
- AXの段階: 会議の録音からAIが議事録とやることの一覧を作り、人は確認と修正だけをする、という手順に作り直す
同じAIを使っていても、後者は「誰が・どの順番で・何をするか」が変わっています。この「手順の組み替え」がAXの中心です。
DXとの違い
| 観点 | DX(デジタルトランスフォーメーション) | AX(AIトランスフォーメーション) |
|---|---|---|
| 主な対象 | 紙・手作業・連絡手段などのデジタル化 | 文章づくり・要約・判断の下準備など、人が考えていた仕事 |
| 典型的な変化 | 紙の日報を入力フォームに、電話の予約をネット予約に | 日報からAIが要点をまとめる、問い合わせの返信の下書きをAIが作る |
| 前提 | 仕組み・システムを整える | デジタルになった情報をAIが読める状態にする |
| 人の役割 | 入力・操作 | 確認・判断・仕上げ |
DXとAXは対立するものではなく、DXで情報がデジタルになっているほど、AXは進めやすくなるという関係です。紙の書類ばかりの場合は、まず一部をデジタルにすることから始めると、AIに任せられる仕事が増えます。
なぜ地方の小さな会社にAXが向くのか
地方の小さな会社では、1人が営業・事務・広報など複数の役割を兼ねていることがよくあります。人を増やしにくい中で、次のような仕事に時間を取られがちです。
- お知らせや案内文、メールの文面づくり
- 見積書・提案書のたたき台づくり
- 会議の記録と、やることの整理
- 調べもの(制度・取引先・道具の情報)
これらは、生成AIが下書きや整理を手伝いやすい種類の仕事です。大きなシステムを入れなくても、月額の生成AIの道具と、手順の見直しだけで始められるのが、小さな会社にとっての入りやすさです。ただし、どれだけ時間が減るかは、仕事の中身や使う人によって変わります。
最初の一歩:4つのステップ
ステップ1: 仕事の棚卸し
毎日・毎週くり返している仕事を一覧にします。細かく書きすぎず、「何の仕事か」「誰がやっているか」「どのくらいの頻度か」が分かれば十分です。そのうえで、AIに向きそうなものに印をつけます。
ステップ2: 1つだけ決める
印をつけた中から、その月にAIへ置き換える仕事を1つ選びます。選ぶときの目安は次のとおりです。
- 頻度が高い(毎週・毎日ある)
- 失敗しても取り返しがつく(社外に出る前に人が確認できる)
- 入力する情報に、機密や個人情報が含まれにくい
ステップ3: 手順書にする
置き換えたあとのやり方を、社員の方が読んで使える手順書にします。AIへの頼み方(ひな形)、確認するポイント、使ってはいけない情報を1枚にまとめておくと、担当者が変わっても続けられます。
ステップ4: 使えているか確かめる
1か月ほど使ってみてから、実際に使えているか、使いにくいところはないかを確かめ、手順書を直します。使われていなければ、その理由(手順が長い、道具が合わない、など)を探ります。
この4つを毎月くり返すと、置き換えた仕事と手順書が少しずつ積み上がっていきます。
AIに置き換えやすい仕事・慎重にしたい仕事
| 置き換えやすい仕事の例 | 慎重にしたい仕事の例 |
|---|---|
| 社内向けのお知らせの下書き | 契約書・法的な判断を伴う文書 |
| 会議の記録の整理 | 個人情報を多く含む書類の処理 |
| 定型的なメールの返信の下書き | お金の支払いや発注の確定 |
| 見積書・提案書の骨組み | 医療・安全に関わる判断 |
| 調べものの下調べ(出典で裏を取る前提) | 事実確認をしないまま社外に出す文章 |
慎重にしたい仕事でも、下調べや下書きにAIを使える場合はあります。大切なのは、最終的な確認と判断を人が行う手順にしておくことです。
つまずきやすい点
- 一度に多くを変えようとする: 覚えることが増えて、どれも定着しないことがあります
- 手順書を作らない: 使い方が担当者の頭の中にだけ残り、異動や退職で途切れます
- 確かめる場がない: 使われていないことに気づかないまま、元のやり方に戻ります
- 情報の扱いを決めていない: 不安から使うのをためらう人が出ます
AI専科のAX伴走の場合
AI専科のAX伴走は、AI顧問のプレミアムプラン(月110,000円・税込・最低3か月)に含まれます。社員の方が社内のアプリを自分たちで作る・直すところも伴走します。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 仕事の棚卸し | 最初の月に、毎日・毎週くり返している仕事を一覧にし、AIに向くものに印をつけます |
| 1つ決める | 毎月の定例(オンライン60分)で、その月にAIへ置き換える仕事を1つ決めます |
| 手順書にする | 置き換えた後のやり方を、社員の方が読んで使える手順書にしてお渡しします |
| 使えているか確かめる | 翌月の定例で、実際に使えているかを確かめ、使いにくいところを直します |
当方が行うのは、置き換える仕事の選び方・手順書づくり・使い方の手直しまでです。時間の削減や売上などの成果はお約束できません。
まとめ
AXは、AIを前提に仕事の手順を作り直すことです。地方の小さな会社でも、大きな投資をせずに、棚卸し → 1つ決める → 手順書にする → 確かめるの順で始められます。
AI専科のAX伴走の詳しい進め方はAX伴走のページ、プランの料金は料金ページをご覧ください。「うちの仕事で何から始められるか」を知りたい方は、無料のご相談でうかがいます。
よくある質問
Q. DXが進んでいなくても、AXから始められますか?
始められます。メールの下書きや会議の記録など、すでにパソコンやスマートフォンで扱っている仕事から始めれば、大きな準備は要りません。紙が中心の仕事は、AXを進める中で必要な部分だけデジタルにしていく形でも構いません。
Q. AXを始めるのに、新しいシステムは必要ですか?
最初は、生成AIの道具(ChatGPT・Claude・Geminiなど)と手順書があれば始められることが多いです。決まった作業を自動で回したい、社内の情報をつないで使いたい、といった段階で、仕組みづくりやアプリ開発を検討します。
Q. 毎月1つずつでは、遅くありませんか?
一度に多くを変えるより、1つずつ定着させるほうが、手順が残り、元のやり方に戻りにくくなります。慣れてきたら、1か月に置き換える仕事を増やすかどうかを、定例の中で相談して決められます。
Q. AXでどのくらい時間が減りますか?
仕事の中身、使う道具、使う人によって大きく変わるため、当方から数値をお約束することはできません。棚卸しの段階で、どの仕事にどのくらい時間をかけているかを確かめておくと、置き換えたあとに自社で比べやすくなります。





